10000m 34分ギリ 分析
目次
はじめに
10000m34分。
正月に行われる箱根駅伝、その予選会が10月に行われるが、予選会への参加標準記録です。
もう少し細かくいうと「平成29年1月1日(日)~平成30年9月30日(日)までに10000m34分以内の選手を10名以上」とのこと。
今年2018年から予選会距離が20kmからハーフマラソン(21.0975km)に変わったのに合わせて参加標準記録も、5000mでの標準(16分30秒以内)がなくなり10000m34分以内だけに変わりました。
ちょうど今の自分の走力(個人走)がそれくらいだと思ったので色々な観点(練習内容、その他の距離での記録、実際に走ってのレース展開など)から分析してみます。
先に書くと2018年9月8日に33分55秒で達成。練習再開時2018年6月21日3000m11分16秒から約80日での達成でした。
そして、あくまで一例であること、アプローチの方法は人それぞれであるということが大切と言うことは先に書いておきます。
10000m34分とは
タイムから分析
1000m毎のスプリットを確認しておきます。
1000m 3′24
2000m 6′48
3000m 10′12
4000m 13′36
5000m 17′00
6000m 20′24
7000m 23′48
8000m 27′12
9000m 30′36
になっています。
トラック(一周400m)での記録が求められるので、
600mあたり 2′02″4
400mあたり 81″6。
200mあたり 40″8。
100m あたり 20″4。
この辺りの数字がターゲットになるのだけどターゲットが分かりづらい。
5000m 17分丁度以外に目立ったきりの良さがないことがある意味の特徴です。その点では丁度を狙うのはトップアスリートでも微調整なしでは難しいタイムとも言えます。
いっそ400mあたり80秒で走ればよい33分20秒の方が速いけど走りやすいとも言えますね。
10000m34分切りに必要なこと
必要なこと、これが出来ると楽、経験しておくと楽ということを書いていきます。
・1000m3分切りの走力
個人差はもちろんありますが、1000mの走力と10000mタイムには正の相関があると言えます。
そのため長い距離を何度も全力で取り組むより比較的短めの距離で手応えを掴むというアプローチも取れます。
理想としては1000mを2分55秒台(集団なら)。個人で走っていてかつ、長い距離に適性がある場合なら3分05秒でも可能性はありますを
・10kmの経験
長距離が速い人ほどより長くの距離が走れる傾向にあります。そして10000m34分で走れる人はハーフマラソン程度までは無難に走れます。
しかしながら、必ずしもそこまでの距離を走る必要はなく継続して10kmを走る練習を経験していたら34分ギリまでは十分に可能です。
そして長距離で目標タイムを確実に狙うために大切なこととして、距離に対するイメージを明らかにするということがあります。
そのためジョグでもペース走でもいいので10kmを継続して走る経験をして、距離に対するイメージを持つこと、どれくらい走ったかを体に覚えさせる事を行いましょう。
ジョグははじめは3kmとかでもよくて、徐々に伸ばしていきます。キロ6分でも1時間で終わるので時間がなくても確実におこないましょう!
・バテる経験とイーブンペースで力を出し切る経験
私は500mをがむしゃらに全力疾走してみること(練習日誌に飛びます) でバテる経験をしてみました。また、1000mやそれより短い距離でイーブンペースで出し切ることを練習しました。
長距離走は絶対に、全力疾走(残り距離を無視してその時出せる全力)を続けるよりも程よく手を抜きながら走りつづけた方が速いです。かといって力を温存しすぎて最後だけ全力疾走してもタイムは伸びないのですが。
決められた距離で均等に力を出しきるのは簡単なことではないけれど、「狙った目標記録を出す」ためには出来た方が良いことなので訓練をしておくべきです。
長ければ長いほど、また、細かく分ければ分けるほど均等に力を出すことが難しくなるので、1000mより短い距離で「前半と後半」とか、「序盤、中盤、終盤の3分割程度」で挑戦すると良いです。そしてラストはあらかじめ分けて考えておくと良いです。
完璧に同じじゃなくても、
「同じ感覚で走ったのにタイムがずれた」
「揃えるのが難しい」
「疲れてくると走りを切り替えないと難しい」
「最後100mが力入らない」
など、イーブンペースを目指したときの自分のペース感覚と身体の動きの差に気付ければ良いです。前半と後半で身体の状態が違うことに気付くのが大切です。
・1000m以上の距離でラップをとる習慣。
ペースの調整は少ないほど全体で波が小さく疲れづらくなります。400m毎でラップを確認するのは10000m、トラック25周に対しては少し多いです。また、ラップを見ると少なからず力んでしまうので、極力1000mなどの距離で見るようにすると良いです。
もちろん200や400でみてダメという意味ではないですが疲れやすさが変わります。
特に今回は400mあたりでも1000mあたりでもタイムが中途半端(81′6,3′24)なのでその都度微調整ではなく1000mに対して、次の2000〜3000mで調整すれば良いです。
・リラックスしてペースをキープ
5000m以下と違い10000mではペースの変化が一切ない(上げもしないし落としもしない)区間が増えてきます。記録会ならなおさら出てきます。その際に力まないようにする。そして力を抜きすぎてペースが落ちないようにします。
ジョグやペース走で訓練できます。
ジョグをキロ5分で続ける、3分40秒のペース走を行うなど比較的ゆとりのもてるペースで行うのが良いです。
10000m34分切りモデルケース
タイムの例とその他の距離での記録を出します。私の記録です。大体全部10000m34分切りから1ヶ月以内のものです。
・記録一覧
1000m 2′48
1500m 4′24
3000m 9′24
5000m 16′27
詳細はこちら から
いずれも一人で走った記録。距離が長いほど、ぼっちで走るのと集団で走る事との差が大きくなると考えられるので、1000mや1500mのタイムがもう少し遅くても10000mで34分切りは狙えます。
・10000mの記録例(1000mごとのラップ)
3′24-3′23-3′23-3′23-3′23 (5000m16分57秒)
3′23-3′24-3′24-3′27-3′19 (5000m16分58秒)
Total 33分55秒2
コンディション
天候曇り(小雨)気温22度 風1m前後 湿度90%
路面 水溜りあり
単独走
行ける限り3′24を切り続けて、8000-9000の区間を休んで貯金を使い果たしながらもラスト1000m(特に400m)で稼いだ展開でした。
レース中意識したこと
・ラップタイムを見るときの見方
※この際は400m毎に行いました。(一人だと不安)
一周あたり81.6とすごい中途半端なので、わかりやすく
80切ったら速すぎる。落とす
80台は許容範囲でキープ
82超えたら少しあげる。
この3点に注目して序盤のペース作りと、中盤でのペース確認をおこないました。
・慣れるまでは200m毎なれたら1000m毎でペースチェック
ペースが80台〜81台で安定したらあとは1000m3分24秒に注目。22秒〜24秒台では対策なし。今回はそれを8000mまでキープ出来たので楽にラストを迎えられました。
・8000+2000の感覚
ひとまず8000までを考えました。走った距離と残り距離のバランスで走った距離が多くなるようにしました笑
なぜこのようにわけるかと言うと、上にも書いた通り、前半と後半では疲労によって体の状態が違うので、別物と考えてペース配分を設定したほうが良いです。そのため、ラストスパートなしの8000mと疲れた状態2000mにわけて組み立てました。
別に5000m+5000mとか7000m+3000m、9000m+1000mとかでも良いです。お好みで。
自分の場合8000mまでを3分24秒で押すイメージは出来ていたのと、どちらも2000mの倍数になるからそうしました。
また、8000mの時点で目標タイムの修正やラスト2000mでのタイム設定が行えるメリットがあります。
上の例でいうと、27′09で8000mを通過したので、残り2000mが6′51とイーブンの6′48から少し遅れても大丈夫と設定し直しました。これによって少し休んでラストに備えることが出来ました。
・5000m まだ半分ではなくもう半分
まだと思ったらその先が地獄。
・2000m毎を節目にフォームチェック
腰が前の一周より落ちていないか。
肩に力入ってないか。
ストライドだけで走っていないか。
最悪なのはペース落ちてるのにフォーム意識しないことです。
落ちたペースを上げて戻す事はフォームを整えることで可能です。力であげようとすると地獄。かえって疲れやすくなります。
フォーム変わらず落ちた時は休んだと考える。
10000m34分切りまでのフローチャート(記録推移)
これは短い距離からアプローチする方法です。上のタイムを出すまでの流れにアレンジを加えたものです。(私の場合がブランクを埋めるというイレギュラーな状態であったため)
①全力疾走を知る
②1000m3分10秒切り。/ 5〜6kmを走れるようにする
まずは徹底して1000m3分10秒までを目指す。
この辺は一回あたりの走行距離が5km行かなくても可能。
ポイント練習はタイムトライアルだけで良いです。行っても400m×3など、一般的なメニューより、距離も量も少なくて大丈夫です。。ここまで走力を上げないと3000m以上の距離を走っても力になりづらい。また、ロードでの走行距離がかさみ怪我のリスクも増えます。長めに走りたいときは芝生等を見つけて行いましょう。
1000mのタイムトライアル(TT)が一番体の成長につながります。そして楽しいです。
この頃には自分が楽に長距離を走れるフォームがみつかってきます。
この時期に合わせて5〜6kmほど、30分までのジョグができるようにする。
TTは週1,2回で挑戦していって休みを週に一度以上とります。
③3000m10分20秒切り。/5kmペース走(18分50秒)
1000m3分10秒切りが出来たら、次は長めの距離で狙ったタイムを出すことに挑戦します。 ズバリ3000m10分20秒。走力としては1000m3分10秒が出来てたら十分出せる記録です。出せないとしたらペース配分など慣れが必要です。一周82秒。
また、この時期からペース走になれるために5kmペース走も実施。1000mあたり3分45秒、400m90秒に挑戦に挑戦します。
距離になれるために1000m→3000mの間に1500m5分切りを挟んでも良いです。
④1000m3分05秒切り
また1000mTTで磨いていく。3000mを経験してことにより以前より短く感じるようになっているので、思い切って攻めていきます。入りの200mを36秒切っていき、トータルも3分1,2秒出すつもりでいきます。
同時期に1500m4分45秒も目指すのもありです。
⑤3000m10分切り
大台突破を目指す。1000m3分切りが出来てたらまずいけます。3分4秒台だと単独では厳しいのでペースメーカーを使うのもありです。
切りの良い記録、壁を突破する感覚が大切なので頑張りましょう!
このときのコツは400m79秒台を刻んでいくことです。
この辺りから終盤にはフォームを再チェックする事を意識していきましょう!タレることを防ぎます。
⑥5000m17分30秒切り/10kmを走れるようにする
目標距離を5000mに伸ばす。そのためにジョグも6〜10kmに増やす。
週1度は10kmジョグを入れるようにしていく。練習の量を増やしていきます。この辺りから怪我のリスクが跳ね上がります。焦らずに休養を挟む事。ジョグのペースが上がり過ぎない事に注意します。
5000mTT以外にもポイント練習を週に1度入れるようにします。ジョグ+3000m10分15秒等
⑦1000m3分切り/3000m9分45秒切り/5000m17分切り
TTで実力アップをめざしていきます。
この辺りから週5,6の練習のうち
TT1回
ポイント練習1回
短めのジョグ1回(2回:週6の場合)
長めのジョグ2回(うち一度は6〜8kmで負荷を上げる)
ぐらいのサイクルをつくっていきます。
5000mTTの時のポイント練習はインターバル(メニュー例はこちら)
1000m、3000mの時はペース走(6km21分〜21分20秒、8km28分30〜29分)
疲れている時は休むようにする!
また、TTをペース走に帰るのも良いです。
⑧1000m2分57秒切り/3000m9分30秒切り
必要があればこの辺りから体幹トレーニングを取り入れていきます。別にもっと早い段階から取り入れても良いですが、個人的にはまだ不要です。
記録としては1000mより特に3000m9分30秒切りを意識。ここがクリアできたらあとは自信を持って距離を伸ばしていくのみです。
ペース走の質を上げていきロングに慣れていきます。ジョグの質は上げなくて良いです。
週1度、1000mか3000mのどちらかだけTTをすれば良いです。
⑨5000m16分40秒切り
この時点で16分30秒をきれたら実質10000m34分はクリアしているも同然です。
毎週5000mTTはきついので、代わりに短めのインターバルやTTを入れる週を作ります。30分のウォークなどアクティブレストや完全休養を取る事を行いましょう。
⑩10000m 34分切り
達成!
終わりに
怪我をしなければ10000m34分は出しやすい記録だと思います。
逆にケガすると長引いてしまうので、怪我をしないこと第一に考え、食事睡眠をきちんととることが大切になります。
ジョグとかで無理に追い込みすぎないこと。距離を追いすぎないことも大切です。
当然のことですが同じ時間ジョグをした時にペースが速いほど走行距離も伸びてしまいます。
長距離のスピードは体にとってめちゃくちゃに速いものではないです。
どちらかと言うと距離が負担になってひざやふくらはぎの故障炎症が起きてしまいます。
その点を意識して練習量コントロールしていきましょう。
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