他の距離の記録と比較する。適性距離を知る。
陸上競技において中長距離種目と言われているのは
800m
1500m
3000m
5000m
10000m
3000mSC
ロードレース
があります。
これらを分類すると
800m,1500mが中距離、その他が長距離
に分かれています。だいぶざっくりしましたが。
3000mは中学生男子、高校生女子では長距離、その他では長距離と言えそうです。
障害込みの3000mscは社会人でも長距離といえます。(中距離から挑戦する人が増えてほしいとも思っていますが)
これら、中長距離種目は距離は違いますがいずれも有酸素運動であり、一つの種目で優れた記録があると、その他の種目でも優れている傾向があります。
(※当然800m,1500mを中距離としてある通り、800mが走れても5000mが走れない選手も多くいますし、フルマラソンが速くてもトラックレースはそこまで速くない人もいます。)
そこで今回はいわゆる中長距離種目の互いの記録のレベルを比較できる表を作成してみました。
・記録相互対応表
記録相互対応表
スプレッドシート版とpdf版あります。ブラウザから保存してください。(下に画像バージョンもあります。)
距離は
800m,1000m,1500m,3000m,5000m,10000m,ハーフマラソン,フルマラソン
です。
見方
・各距離3列ずつの構成(フルマラソンだけ4列)
1列目が分、2列目が秒、3列目がペース(秒/km)になっています。
例として800mの黄色く塗られている場所は、
1分40秒(2分05秒/km)
を表しています。
・一番左が800mとなり、順番に1000m,1500m,3000m,5000m,10000m,ハーフマラソン,フルマラソンと並んでいます。
・フルマラソンの右側には色が塗ってある理由があります。
世界記録、サブ3などの節目などが載せてあります。
(※この表は5000mを5秒ずつ区切った、そしてその5000mの記録に対応する各距離の記録を計算しました。そのため世界記録などは実際の記録と表記の記録が違う場合があります。)
表の扱い
・横一列に並んでいる記録が同レベルということになります。
・横一列のどれか一つでも特徴のある記録ならその列の記録全てに色が塗ってあります。
・5000mの記録を基準としています。太枠で囲ってある範囲で5000mの記録を1分毎で区切ってあります。
簡単な解説は下にある画像バージョンで説明します。
評価方法
記録を相互評価するための方法は色々ありますが今回は、
・「男子の日本記録」を全種目同レベル評価する。
・5000mを基準距離とする
・各距離の1km毎のペースを求める
・同レベル内で「それぞれの距離の1kmあたりのペース」を「5000mの1kmあたりのペース」で割り、割合を求める。求めた割合を変換係数(5000m以下の距離では逆変換係数)としする。
この変換係数を使って他の距離の種目との相互評価を行いました。
例えば5000m16分40秒(3′20/km)→(200秒/km)から1000mの記録を予想してみます。
5000mから1000mの逆変換係数が0.886になるので、
①(5000mの1kmあたりのペース)×(逆変換係数)
=(A:同じレベルの1000mの1kmあたりのペース)
200×0.886=177.2
177.2秒/km
②A×(距離:1000mを1とする)=その距離での記録
今回は距離が1000mなので
177.2秒がそのまま記録になります。
これを分と秒に直すと
2分57秒になります。
よって5000m16分40秒で走る人は1000mを2分57秒で走れると予想されます。
(※距離が1500mなら最後にかけるのが1.5、ハーフマラソンなら21.0975になります)
変換係数・逆変換係数一覧
下の表は、変換係数、逆変換係数の一覧です。
5000m以外の距離(800m→1500mなど)もあります。
対応距離の項目の左側の距離の1kmあたりのペースに変換係数をかけると、右側の距離における同レベルの記録の1kmあたりのペースが求まります。
逆変換係数は右側の距離→左側の距離に直す際に変換係数の代わりにかけるものになります。
注意点
①はじめの一覧表は、この係数を限りなく細かく取って計算しています。(例えば5000m→フルマラソンなら1.138357505)しかし、上の簡易バージョンでは3桁で表しているため誤差が出る場合があります。
②表記ブレ
表記の都合上、9分00秒となるところが8分60秒となるなど、00秒になる場合で正しく表示されていない場合があります。
③男子10000mの日本記録は、実際のものではなく5000mの記録保持者大迫傑選手の5000mの記録の伸び率から仮定しました。
④5000mの記録5秒毎で作成。
画像バージョン+分析
5000m12分00秒〜13分55秒
この範囲には男子の世界記録、日本記録などが含まれています。
また、日本選手権の男子の参加標準記録や全カレ参加標準記録もここに含まれます。
日本歴代100傑に当てはめると、
800m 1分49秒30
5000m 13′38
10000m 28分08秒
ハーフマラソン 61分58秒
フルマラソン 2時間10分08秒
おおよそこの辺りなんですが、大体オレンジのラインに集中しておりそこそこの精度と言えると考えます。
5000m13分55秒〜16分00秒
女子の世界記録および日本記録ゾーン。オリンピックにおいて過去に金メダルを取得している女子マラソンの日本記録は他の距離に比べて別格と言えます。
フルマラソンへの適正(最大スピードはないけど5000m.10000mのスピードに近いスピードを持続できた)があったのだと言えます。
男子の市民ランナーのトップクラスが位置するゾーン。(最近はここ以上の方もいますが)
また、トラックの記録に比べてフルマラソンの要求が高く感じ始めるゾーン。
理由としては、マラソンの上位記録は5000mや10000mで日本トップクラスの記録を残す人が、マラソンに切り替えることが多いためです。切り替えの前後でより速くなりかつ長距離練習を重ねた結果、ロードの方がハイレベルになります。
マラソンに適応した練習を継続しにくい環境ではトラックほど伸びなくなります。
逆に日本女子のマラソン勢はマラソン対策を重ねた結果トラックの記録以上の水準の記録を残していることが多いです。
800m1分台と、5000m14分台、10000m30分台は同じくらいのレベルの扱いとなっています。
高校生の800m1分台の方が事実多いですがこれは5000mにおいてベストが一番出される冬の時期には高校三年生はすでに引退していることが多いために5000m14分台の敷居が高くなっているためと考えます。
5000m16分00秒〜18分00秒
女子の全カレ参加標準記録付近。
また、10000m34分切りもここにある。以前に考察した記事もあります。
この表からの推測でも、1000m2分55秒,5000m16分25秒が同レベルというと出ました。3000mについては9分30秒を切ってなくても狙えるという分析になります。
フルマラソン1つの壁2時間48分はハーフマラソン80分切りで可能となっています。現実にはマラソン練習が積み重ねにくい現状からもう少し上の水準が求められています。
5000m18分00秒〜20分00秒
この付近で止まっている場合は逆に、走り込んでいる市民ランナーの方も多いかもしれないゾーンです。また、学生時代に長距離をしてこなかった人はそもそも5000mを走っていないかもしれません。
サブスリーの達成ラインは
5000m18分45秒、10000m39分、ハーフ86分
となりました。サブスリー目標の人であればまずは短い距離で練習をしていくことが個人的にはオススメです。
5000m20分切り。10000m40分切りとだんだんレベルを上げていくのが良いと考えます。
また、1000m3分20秒、3分30秒と言った記録も目安になります。
5000m20分切りを目指す場合のオススメは1500m5分30秒と、1000m3分35秒切ることからアプローチしていく方法です。
ただこの辺りは個人個人の適性が大きく別れてきます。中には5000m18分を切っていてもサブスリーが出来ない人もいれば、19分台で達成できる場合もあります。
前者は短い距離に適性があるもしくはゆっくり長く走る練習が不足している。
後者であればフルマラソンに適性があると言えます。
5000m20分00秒〜5000m21分55秒
走力としてはフルマラソンサブ3.5を狙えるゾーンになります。ただ、繰り返しになりますがフルマラソンに向けた走り込みができていない場合は短い距離で記録を残していてもフルマラソンでの目標の達成が難しい場合が多いです。
私の考えではこの付近の記録帯の場合は長い距離を走るよりも短い距離からアプローチしていく方が効率が良いと考えます。また、フルマラソンにこだわらずに1000m4分切りを目指す。1500m6分切りを目指す。など短い距離での目標達成を目指す事も大きなやり甲斐になると考えます。
5000m22分〜24分00秒
5000m〜25分
サブ4達成に向けて頑張るゾーンになります。
一応ハーフで1時間55分を切っていればフルマラソンでサブ4を達成をしても不思議ではないです。元々キロ5分を切って走ることが少なくゆっくり長めに走る習慣などを身につけていれば可能です。
補足
800mや1500mはやはり中距離としての適性や対策した練習が必要になるので同じ選手であれば同レベルよりも低い記録が出る傾向が強いです。
同様にマラソンにおいても市民ランナーでは5000mや10000mの記録と同水準の記録を残すことが難しい場合が多いです。
また、2種目以上の自分の記録からどちらに適性があるか判断してみるのも面白いです。もしくは自分の弱点を見つけるのもいいです。
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